sunawachi.com「レザー・コラム」

レザーにまつわるあれこれを不定期で書く、sunawachi.comのコラム

「私を助けた犬のこと」

レザーストア「スナワチ」では、ジョージというヨークシャーテリアの犬が店長をしております。

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OUGI Leathersの後藤さんと、ジョージ店長と、社長の私(前田将多)の二人と一匹で、ストアを運営しているのですが、過去にはジョージが後藤さんの紹介コラムを書いてくれました。

sunawachi-leather.hatenablog.com

 

 最近は、ストアで、SNSで、ジョージ店長をかわいがってくれるお客さんも多いので、今回はジョージについて私が書きます。
ジョージのことはジョージが死んだときにでも書こうかなと思っていたのですが、もし死んだら私は泣いてしまってそれどころではなくなるでしょうし、それは10年も先のことになるはずなので、いっそいま書きましょう。

「何才なんですか?」「保護犬なんですって?」と訊かれることも多いです。
はい、ジョージはもともとは保護犬で、そのため正確な年齢はわかりませんが、推定8才です。

2015年の夏、私はカナダの牧場でカウボーイをしておりました。
…って、私を知らない人にはいきなりウソくさい作り話に聞こえるでしょうけど、本当です。
6月に電通を辞めて、7月からひと夏、カウボーイをしていました。

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カナダの短い夏が終わりかけた頃、日本にいるうちの主人(妻)から
「妹がケガした猫を拾ってしまったのだけど、彼女はアレルギーで飼えないから、うちで飼ってもいい?」
と連絡がありました。
見捨てるわけにもいきませんし、それがあまりにもかわいい猫だったので、僕は「いいよ」と即答しました。

牧場では千数百頭の牛と、三百匹くらいの羊と、犬や猫、鶏たちと暮らしていましたので、うちで猫1匹くらい面倒見るのは屁でもない、と大きな気持ちになっていました。

それで、「猫を飼うなら、犬も飼おう」ということになり、帰国してすぐに大阪の鶴橋というところにある保護犬カフェを訪ねました。

主人はウェブサイトで「この子か、この子」と二匹、目をつけていたみたいです。カフェに入ってすぐに、一匹目のヨークシャーテリア「チャビ」くんをケージから出してもらい、私が抱っこしました。

すると、チャビは私の胸にぴったり体を預けてくっついてきました。

「もうこいつに決定! もうダメもうダメ…」

私は即座に決めました。

もうダメ、というのは「もう一匹を抱っこしてしまったら、二匹のうちどちらかを断らなくてはいけないから、それはダメ。この子に決めます」という意味です。

保護犬って、人間を警戒したり、吠えたり、もっと用心深いものかと思っていましたが、チャビはピタ~っとくっついてきて、その瞬間に私の心はアイスクリームのように溶けました。

それがのちの「ジョージ」です。

ちなみに、猫の方は、悪魔みたいなやつだったと、のちに判明します…。

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the Devil

ジョージは、高齢のブリーダーが倒れて、世話をされないまま放置されていたところを保護された犬だそうです。
とうぜん不潔で、飢えた状態で、左前肢が骨折していたそうです。カフェが提携する獣医によって治療され、今でもその肢には金属プレートが入ったままです(レントゲン撮ると写っています)。

そのときに「3才くらいでは」と聞かされたので、いま5年たって、おそらく8才です。

 

チャビは、我が家でジョージと名づけられ、新たな生活をはじめたのですが、初日はトイレシートの上にじっとしていて、動こうとしませんでした。
カフェのケージの中はトイレシートが敷いてありましたから、「自分はシートの上にいるもの」と思い込んでいたのかもしれません。

あまりにみすぼらしくてくさいのでシャンプーをしたり、早々に獣医に連れていって予防接種を受けさせたりしました。

獣医に診せたら、「あれ? チャビ?」と言われ驚きました。奈良のうちから鶴橋はだいぶ離れているのですが、偶然にもそこは提携先のひとつだったようで、元チャビ、現ジョージを治療して去勢した病院が近所だったのです。

ジョージを散歩させようと屋外に出しても、はじめはぜんぜん歩きませんでした。

そのうち庭をチョコチョコ歩くようになって、やがて家の周囲を走るようになりました。
私と追いかけっこするように、飽きずに何周も何周も走っていました。
脚が悪くて走れないと思っていたびっこのジョージがうれしそうに走ったときのことは、よく覚えています。必死に写真を撮りましたから…。

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駐めてあった自動車のバンパーにゴチン! と頭をぶつけてキュー! と啼いてからは、家の周りは走らなくなりました。

私について外を歩くようになって、徐々に距離を伸ばしていき、近所を一周できるようになりました。

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秋が冬になり、私は家の二階の書斎で『カウボーイ・サマー』の原稿を執筆していました。

ジョージを一階に置いたままにすると「キュー、キュー」と啼いて集中できないので、書斎の足元に動物用ベッドを用意してそこにいさせました。ジョージは自分で階段をのぼることができません。

ストーブをつけて机に向かって書いて、疲れるとジョージと散歩して、一緒に昼寝して、夜にまた書くという生活でした。

無職ってすごいんですよ。一日なにをしてもいいし、なにもしなくてもいいんですよ。
でも、常に不安ですから、孤独とのたたかいが苛烈です。

行く会社もない、仲間もいない、給料もない、自分が人生を転落したような気持ちばかり募る。すべてが無駄に思えて、毎日なにをがんばっているのかわからなくなります。

オンラインでスナワチも開始しましたが、誰とも会わないから、とにかく毎日孤独。
いつ来るかわからない注文を待ち、出せるかどうかわからない本を書く。

あの冬の日々に、犬のジョージと猫の寅次郎がいなかったらと想像するだけで、気が狂いそうです。邪魔する寅次郎に怒ったり、私が外出するとピーピー啼くジョージにイライラしたり、育児ノイローゼみたいな気分も味わいましたが、いまになって振り返ると、本当にあいつらがいてくれてよかったです。

私が保護犬のジョージを助けたのではなく、ジョージに出会った私が助けられたのです。飼い主と飼い犬以上の関係なのです、私たちは。

 

『カウボーイ・サマー』は17年に書籍になり、カウボーイの本などそんなに売れるわけではありませんが、おかげさまで高い評価を得ております。

スナワチは、よくつづいてるなと自分でも思うほど、さまざまな方に助けられて、業績もなんとかジグザグに上がっていっている感じです。

スカイロケットすることも、万事がうまくいくということもありませんが、漸進することが大事だと信じてやっています。

18年にスナワチ大阪ストアを持って、ストアが書斎にもなり、こうしてなにやら書くこともありまして、特にジョージを連れて来られる日は至福です(さらにお客さんが多い日はなおよいですけど)。
あのころのように、朝起きて夜寝るまで一緒にいられるというのは幸せなことです。

おかげでジョージはちょっと分離不安症気味で、お腹もすぐにこわしますが、それ以外は、誰にも吠えることも噛むこともなく、弱っちい犬が一生懸命に店長をしてくれています。

 

 

 

 

今後とも、スナワチを、ジョージ店長を、ご愛顧願います。 

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「愛せるモノを、持たないか?」
スナワチ大阪ストア
大阪市西区阿波座1-2-2
06-6616-9626
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「愚か者のマーケティング」

私はだいたい毎日、本を読むのですが、ビジネス書と自己啓発本はあまり読みません。

読むのは、いま興味があることの新書、知らない世界が描いてあるノンフィクション、尊敬する作家や学者のコラム、そして息抜きとしての小説が多いです。

友人から『BUSINESS FOR PUNKS』(ジェームズ・ワット著/日経BP)という本をもらいました。

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ブリュードッグというクラフトビールを世界的に大ヒットさせた創業者の著書だそうです。
…だそうです、というのはまだ読んでいないんです。ごめんね、Tさん。

今度ちゃんと読もうとは思いますけど、だって帯に「人の話は聞くな。アドバイスは無視しろ」って書いてあるから、「じゃあ、読まんでいいわ」と思ってしまったのです。

 

かくいうスナワチも、ほとんど人のアドバイスは聞くことなく運営しております。ほとんどマーケティングというものは無視してやっております。

なぜなら、まともなマーケティングをやりたければ電通時代の仕事として、人様のお金でできたはずですし、なにより、「こういうマーケティングで、こんなに成功しました」というのにどうしてもノレない天邪鬼な自分がいるのです。

もっとわけのわからない、「なにこれ」という不可思議を求めたいですし、レシピのないものをつくりたいような、漠然とした欲求があるのかもしれません。

そもそもレザーという素材自体が、タンナーさんに言わせれば、レシピ通りにやっても毎度同じものができるわけではない奥深いもののはずです。

スナワチは非常に独特の方法で、経営をしています。

カンタンに言えば、前田将多(私)が好きなようにやって、ツイッターで好きなことを言って、「月刊ショータ」というコラムを毎月書いて、私に興味を持ってくれた人が、レザーにも関心を抱いてくれて、やがてストアに来てくれる/注文をくれる、というほぼ再現のできない手法です。

方法とか手法と書きましたが、はじめからそれをマーケティングとして計画・実施してきたわけではなくて、やってたらそうなった、というだけのハナシです。

もちろん自分なりにマーケティングしてるつもりなんですよ。だけど何事も計画通りにはいかないというのが、スナワチを5年やっている自分の実感ですし、はじめてやる行為はだいたい失敗するというのが、カウボーイの経験から知ったことです。

科学とデータにのっとって、もうちょっと賢くやっていたら、もっと儲かっていたのでしょうけど、愚か者なりにまずまずがんばってきたほうです。

マーケティングしてないから、「ふつうの法則」が通用しません。

たとえば、’19年の10月に消費税が10%に上がり、ふつうのお店や会社は軒並み売上が下がったはずです。
しかし、スナワチはなぜかその頃から売上が高めに安定していきました。意味がわかりません。
そこから春までずっとよくて、たのしくやっていたのですが、さすがにコロナはガツン!ときました。

「おおぉ、やべえやべえ」と必死になにか考えまして、スナワチTシャツを作ったり、新製品として革下駄を発売したりしました。
価格の税抜/税込を誤って告知してしまったボストンバッグを、起死回生の(苦肉の)策としてそのまま先行予約価格として受け付けもしました…。

そんなことをしていたら夏があっという間に過ぎていきました。

この夏は京都の宇治に遊びにいっただけで、あとはあちこちでビールを飲んだ記憶はあるものの、たいした思い出も残すことなく、嵐のように去っていったような感慨があります。

7月はおかげさまで最高売上でした。いまでも「あのスナワチTシャツ、もうないんですか?」と尋ねてくれる方もいて、うれしいことです。
皆さん、ありがとうございました。

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燃え尽きたのかなんなのか(いや、燃え尽きている場合ではない)、9月は静かです…。

いかんいかん、神様は私たちにラクさせてはくれません。
またなにかたのしいこと、よろこんでもらえることを考えます。

 

マーケティング的に、統計的に言えば、レザー業界なんてずっと逆風です。
電車で車内を眺めても、誰も革のカバンなんか使っていませんし、財布だって小さく小さくが潮流です。
ダンディズムも、モノを大切にも、風前の灯火でしょう。

しかしまぁ、『BUSINESS FOR PUNKS』はまだ読んでいませんけど、私も心だけはパンクスの端くれですから、自分の心の中にちゃんとした「オレ」がいる、そういう人たちにスナワチを訪れてほしいと思います。

See you all.

 

 

「愛せるモノを、持たないか?」
スナワチ大阪ストア
大阪市西区阿波座1-2-2
06-6616-9626
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「2周年記念に革下駄を発表します」

新型ウイルスによる緊急事態はようやく全国的に解除されましたが、まだ宣言下の10日ほど前に、スナワチ大阪ストアは静かに2周年を迎えました。
1周年の去年は”BARスナワチ”と称して、ストアを即席のバーにしてみんなでお酒を飲んだのですが、いまはそれも叶いません。

それにもかかわらず、ビールやウィスキーを贈ってくださった方々ありがとうございました。顧客となってくださったみなさん、シビれるようなレザー製品をつくりつづけてくれるクラフツマンたち、いつも励ましてくれる友人たちに、改めてお礼を申し上げます。
Thank you very very much.

 

長年あたためてきた企画をようやく実現することができます。

京都に吉靴房というちいさな靴の工房がありまして、野島孝介さんという寡黙な男がやっています。

私は6、7年前に、彼のつくる「革下駄」を購入しまして、夏になると履いておりました。当時はまだ会社員でしたが、たまーに会社にもそれを履いて行っていました。自由な会社でしたな……。

スナワチを起業して5年目、大阪にストアを構えて2年目のこの春、私は野島さんに連絡をとり、京都まで出かけ、「スナワチのために革下駄をつくってほしい」と依頼しました。

彼は快諾してくれて、吉靴房のレギュラー製品よりもややスリムで対角線の2カ所の角を落としたフォルムの、特別な革下駄をつくってくれました。彼は革下駄と呼びますが、まぁ雪駄ですな。下駄の歯があるわけではありません。

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レザーは、ヌメ革です。ヌメ革というのは、タンニン鞣しの革のことを意味するのですが、一般には、中でも染色や塗装のないものを指してそのように呼びます。

私は同じレザーでつくられた革下駄を何年も使っていますから、履き心地についてはよく知っています。
さらっとした足触りで、履きこむと足型に合ってくるような感触があります。歩いて足裏にじわりと汗をかくくらいが、歩きやすい感覚を得られます。

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どの雪駄や下駄もそうなのですが、はじめは鼻緒の部分が足にあたり痛みます。現代人は靴生活に慣れているので、常に守られている足の皮膚は弱いものです。
履きこむにつれ、レザーの鼻緒は柔らかくなり、快適になります。

靴底はウレタンで、思いのほか長持ちします。やがてすり減った際には交換もできます。

最近はハイテクな素材を使った柔らかい雪駄、クッション性を売りにするものも世にはあるようですが、こちらの革下駄は、ふかふかした感じはありません。

革で歩く、本来のしっかりした感触です。

ラクですか?」と訊かれれば、ラクではありません。
「カッコいい?」なら、「おう、これを見てくれ」と言えます。 

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底は耐久性のあるウレタン

カラーはナチュラルの1色。糸の色は白、黒、赤の3つから選べます

サイズはS(25.5-26.0) / M(26.5-27.0) / L(27.5-28.0)が目安です。

スナワチ大阪ストアには試着用の上記各サイズを用意していますので、試してみたい方は遠慮なくどうぞ。

女性用のXS(24.0前後)はサンプルがありませんが、吉靴房の野島さんは製作してくれますので、ご自分のサイズ数値を把握した上でご注文ください。

※オーダー製作になりますので、サイズ選びに不安がある方は遠慮なくご相談ください。 

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上から、赤、黒、白です

なお、雪駄を履くときには「かかとを半分出して履くのが粋」という言説があり、わざとやや小さめを履く方もいます。私も実は(以前より履いているものは)そのようにしています。

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26.5で幅広の私はMですが、人によってはSでもいけるかも…

職業上の必要ももちろんでしょうけど、靴の歴史を繙読するのが趣味であるという野島さんによると、
「小さめを履くのが粋というのは、武士は食わねど高楊枝みたいな起源もあり、昔は草履のサイズなんて細かく設定がなかったんですよ。だから、多少小さくても平気な顔して履かざるをえなかった、という意味もあると思います」
とのことです。
ですので、基本的には靴が26.5の人はMを、27.5の人はLをオーダーいただいて構わないと思います。
「自分の足は、ブランドによって26.0と26.5の中間くらいなんだよなー」という方は、小さい方(つまりこの場合はS)をお選びになればいいと思います。 

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左:何年も履いた私物 右:新品

満を持して発表にこぎつけた革下駄ですので、ふつうにスナワチのオンラインストアで販売したいところなのですが、季節モノですし、吉靴房としては複数個のオーダーをまとめて製作したいという事情がございまして、オーダーをいただく期限を区切って、販売したいと思います。

第1回オウナー募集:2020年6月10日(水)
第2回オウナー募集:2020年6月20日(土)
第3回オウナー募集:2020年6月30日(火)

とさせていただき、7月以降はまた考えます…。

製作期間は約90日間いただきまして、1か月半後のお届けをメドとしてください。

 

■価格:25,000円+税=27,500円

        +送料700円で、合計28,200円です。

お支払い方法は、①口座振込か②代金引換便でお願いします。
いずれも手数料がかかってすみません。
※ストアで購入される方はもちろん送料・手数料はかかりません。

 レザー製品はなぜだか秋冬のイメージがあるのですが、涼しげな夏に「ジャパニーズ・レザー・サンダルズ」、いいと思いますよ。

 

■ご注文方法:

以下をお書きになってメールをください。

        info@sunawachi.com

①お名前
②郵便番号とお届け先
③お電話番号
④ご希望サイズ:S(25.5-26.0) / M(26.5-27.0) / L(27.5-28.0) /その他(数字をご記入)
⑤糸の色:白、黒、赤
⑥お支払い方法(口座振込、代金引換便、店頭)

 

今はまだ、なかなか出かけられなくて鬱々としますが、みなさんによい夏がやってきますように。

Have a great summer!

 

「愛せるモノを、持たないか?」
スナワチ大阪ストア
大阪市西区阿波座1-2-2
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ストレートに言いますと「スナワチTを買ってください」

この夏、自分で着ようと思って数枚だけ作ったスナワチTシャツは、非売品のつもりだったのですが、撤回します。

ご希望の方に販売いたします。

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171cm / 63kg でLを着用

コロナウイルスの危機が日に日に拡大する状況(2020年3月末現在)の下、スナワチは昨年秋の消費税増税にもかかわらず、おかげさまでビジネスとしては順調に推移し、「ようやく食えるかもしれないな……」と、ほっとしていた矢先でした。
今はギリギリ持ちこたえているのですが、キツイのは「終わりが見えない」の一点に尽きます。

3月は締めてみたら、例月の20~30%減です。よくないです。
楽観的な私でも、じわじわと不安が迫ってきて、どうしたらいいかわからなくなる瞬間もございます。

政府の個人への給付金はどうやらないみたいですし、企業に対する支援といっても「どう見ても『なるべく来ないでね!』と言わんばかりの難解な書類と煩雑な手続き」が待っていて、アテにできません。私は小規模事業者持続化補助金というのに過去3回も落ちてるので、政府から見放された存在だとあきらめております(苦笑)。

しかし、まぁ、こういうとき、モノを売る商売の人間は「いいモノを買ってもらう」しか手はないのです。

 

おかげさまで毎年好評を博している「ウェットブルー・ポケットTシャツ」は2020年版も計画中です。

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ウェットブルー・ポケットT

が、それも夏まで発売しませんので、この春をなんとかするために、「スナワチTシャツ」を作ります。

と言っても、ペペッと乱造したものを売るようなことは、スナワチの沽券にかかわりますからいたしません。

こういうTシャツです。

ベースとするシャツは日本製。海外製なら数百円で手に入りますが、このプロジェクトはスナワチご支援のお願いであり、国内メイカー支援も兼ねているので、品質のいいものを起用したいです。

以下はTシャツメイカーの説明です(私はシャツの専門家ではありませんので譲ります)。

  • 40双糸(細めの40番糸を2本撚り合わせて、20番単糸と同程度の太さをもたせた糸で編まれた生地です。強度を高めながら、細めの糸のなめらかさを持ちます)
  • コーマ糸(糸を生成する最終段階で、均一性を高めるために、コーミングという工程で余分な繊維を20%ほど取り除いた糸です)
  • 度詰め(糸から生地にしていく編みたて工程の糸テンションを一般より1クラス詰めて編み、生地目がきっちり詰まったもの)
  • 6オンス程度の厚み

「スナワチ」ロゴは、やや小さめにプリント。

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上着を着てもなんとなくロゴが見えるくらいのプリントサイズ

シルクスクリーンなので、仕上がりがきれいで、耐久性に優れています。

裾にはレザータグを縫い付けます。ウェットブルー・ポケットTでも使用する、「染色されていないから色落ちしようがない」という大発見なウォッシャブル・レザーです。独特のブルーは、皮をクロム鞣しする際の塩基性硫酸クロムの薬剤の色です。

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以下、正直なスナワチは、このTシャツの個人的によくないと思う点も挙げておきます。
不良品はもちろん交換しますが、購入前にご承知いただきたいです。

  • サイズが小さめです(後述)。身幅が狭く、着丈がやや長いように感じます。体の大きな男性には合うサイズがないかもしれません(比較的体の大きな男たちがまわりに多いので申し訳ないです)。
  • 生地はよいですが、縫製については若干甘い印象です。

こういうTシャツでよろしければ、ご希望の方に受注生産というかたちでお届けします。

■価格は、税込・送料込みで、5,500円です。

ここでも正直に申し上げますと、通常の製品として販売するなら、この品質、プリント、レザー縫付けの手間(つまりコスト)であれば、6000円以上にします。
「こういうときだし、しゃーないのう!」と気持ちよく言ってもらえる価格のつもりです……。

■サイズ選択について:
やや小さめです。ふだんMを着る私がLを着ています。
男性サイズです。女性でももちろん着用可能ですが、今回選択したメイカーに女性サイズの設定がなくてすみません。
洗うと若干縮みます。メイカー提供の「洗濯後、乾燥機使用」ののちの数値がこちらです。
※メイカーでは乾燥機仕様は、ぜんぜんおすすめしていません。

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不安がおありの方は、お気に入りのTシャツサイズとご比較ください。

■カラーは1色です。白ベースに黒プリント+ウェットブルー・タグ

■お支払いについて:
銀行口座振込(振込手数料がかかります)、PayPay、商品代引き(代引き手数料がかかります)の3通りが可能です。

■返品と交換について:
不良品は交換いたします。サイズが合わなかった、イメージとちがったなどの理由による返品は、今回に限ってはご容赦ください。
再度言いますが、ひとつ上のサイズがおすすめです。

■締め切りとお届け時期について:
第1回締め切りを「2020年4月1日の夕方6時」とさせていただきます。すぐ来ます。
そこから製造して、4月第3週にはお届けしたいと考えています(予定)。
ご希望者が少ない場合、第2回はありませんw

 

そんなわけで、ご希望の方は以下の情報を記載の上、メールをくださいませ。

①ご希望サイズ
②お支払い方法(それによりメール返信で詳細をご案内します)
③お届け先の郵便番号・住所・電話番号 ※レターパックでお送りします。
④お名前

送信先:info@sunawachi.com

以上です。

お問合せ、ご質問もメールでどうぞ。

どのお店も会社も助けてほしい状況だと思いますが、スナワチとしてはただなにかを恵んでもらうのではなく、お互いに「よかった!」と思える施策を打ちたくて、考えたプロジェクトです。

賛同くださる方々のご購入をお待ちいたします。よろしくお願いいたします。
Thank you very much in advance.

 

 

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スナワチ大阪ストア
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「レザーは水に弱いのか」

レザー製品を手にしたお客さんから、
「水には弱いですか?」
と訊かれることがあります。

モノによるのですが、水には注意しなくてはならないレザーもあります。

レザーは、大きくはクロム鞣しとタンニン鞣しの2種類がありますが、鞣しの薬剤や染料、顔料、仕上げの方法などで無限のタイプがあるため、一概には言いにくいです。
が、一般的に、オイル分が多く含まれているレザーは水の影響を受けにくく、オイル分が少ないものは水ぶくれや水ジミができやすい傾向があるようです。

もしも、水ジミができてしまったら、固く絞った布で全体を拭き、自然乾燥させてやるのがいいかと思います。

スナワチでいうと、BMJ後藤氏が好んで起用する栃木レザーのこちらの革は、水滴を落とすと水ぶくれになってしまいます。

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時間がたつとやがて目立たなくなるので、あまり気にする必要はないのですが、新品を手にしたらどうしても気になってしまうのが人情というものです。

このレザーは鮮やかな発色と、滑らかな銀面(オモテ面)の輝きが特徴なのですが、仕上げの際にアイロン(といっても家庭にある洋服用とはちがい、大型のローラーの間を通す機械)で表面がピカピカになるように圧力をかけてあります。
さらにグレージングといって、ガラスで圧をかけつつ擦るというプロセスも経ています。

ご興味がある方は栃木レザー社の映像をどうぞ:
https://youtu.be/YkrIp2dCYHg

つまり革の線維がギューッと詰まった状態にされているわけです。
そこに水滴が落ちると、水分が浸透して、そこだけ緩んでしまいます。これが水ぶくれのように一部分が盛り上がってしまう原因です。

「時間がたつと目立たなくなる」と言ったのは、使っているうちに革の線維自体が全体的にほぐれてきますので、緩んだ水ぶくれ部分も、ほかと差異が少なくなるというわけです。

 

シボ(革のシワシワのこと)があるレザーは、傷やシミが見えにくいという利点があります。
最近、後藤さんはこのレザーを揉んで、自然なシボを生み出すということもしています。

その揉み方も、一方向に揉む、タテ・ヨコに揉む、ナナメも含めた全方向から揉む、というやり方によって異なるシボが表現されます。

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左が手揉みナシ、右が手揉みアリ

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タテとヨコ方向に揉んであります

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通常のアニリン仕上げレザー

さらに、牛の背中側は線維が細やかで、腹側は粗めなため、部位によっても揉んだことによって生まれるシボがちがいます。

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右:腹側のレザーを揉んで大きなシボが出たもの

手で揉むことも可能ですが、それ専用の道具もあり、キリシメンといいます。これを使うとより確実に体重が乗り、美しいシボをつくることができます。

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キリシメン

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右が揉んだレザー

強制的に線維をほぐしていることになるため、水滴による水ぶくれも抑止できます。

自然素材であるレザーの奥深さと面白さの一端を、こんなところからも感じていただければ幸いです。

Nothing like good leather. (いいレザーほど素敵なものはないぜ)

 

(了)

 

「愛せるモノを、持たないか?」
スナワチ大阪ストア
大阪市西区阿波座1-2-2
06-6616-9626
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「この時代にモノを売る人間が、モノについて語る②」

前回の続編として、革靴ブランド「Grant Stone」を販売する船中俊宏さんと、スナワチ前田将多の対談の模様をまとめます。

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このイベントでは、二人の「自慢の持ち物」も紹介しましたので、その一部を公開します。

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Rolex Submariner

船中:これは、30才の誕生日のときに買いました。20代は半分学生で、半分社会人だったんですけど(駐:船中氏は院卒かつ4月生まれのため、社会人になってすぐ26歳になる)、自分としては「いい加減に過ごしてきた時間だったなぁ」と反省したんですね。
30代は自分の人生の中で貴重な10年間になるような気がして、なにか思い切ったモノを買おうと、時間を大事にするんだという決意を込めて、このロレックスのサブマリーナーを買いました。

結果、僕は時計好きでもなんでもないので、これをずっと愛用していまして、これ以外はGショックくらいしかない。
振り返って、いま43なんですけど、30代の10年間がよかったかと訊かれると、自分としては「うーん……」というところはあります。でも、この時計を見たら、当時「時間を大事にしたいと思ってたな」という思いは常に蘇ってきます。

前田:えらい派手なやつを選びましたね、数あるロレックスの中で……。

船中:30才でこれ着けてたら「なんだこの人は」って目で見られましたね。

前田:しかもコンサルって職業で。

船中:そう、コンサルでスーツ着て、これ着けてたら嫌味でしかないですよね(笑)

でも、時計好きの人は「ええ時計してますね」って反応してくれました。
自分がおっさんになってきて、そろそろ似合ってきたかな、という頃合いですね。

 

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Rolex Submariner

前田:私もロレックス!
船中:ぶつけてきましたね(笑)

前田:これは2010年に発売された、ベゼルがセラミックになったグリーンのサブマリーナーなんです。僕にはケンタッキーにロブっていう親友がいて、その年に彼に息子が生まれたんですね。

彼はアイルランド系だから、ナショナルカラーであるグリーンを誇りにしている。
だから、僕がこの時計を10年15年使ってから、彼にあげて、彼がもう10年でも使えば、息子が大人になっているはず。

そのときに、就職なのか結婚なのかわからないけど、適当なタイミングで息子に渡す、っていうようなことができれば、この先10年20年と楽しめるかな、と思って買ったんです。

……いま2020年だから、もう10年たってるでしょ。

船中:はい。

前田:ぜんぜんあげたくないんですよ(笑)
まだまだ僕が使いたいですよ。

船中:僕もさっきの時計、一番上の子が男の子なんで、彼がハタチになったらあげたいなと思ってるんですけど……

前田:3人生まれちゃったじゃん(笑)

船中:大変ですよ(笑)

 

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COACH ショルダーバッグ

船中:「いいレザーのバッグがほしい」って、男性なら一回は思うことがあると思うんですけど、28のときに友人がサンフランシスコで挙式するという機会がありまして、ラスヴェガスまで遊びに行きました。そこのコーチの店で、これを見たんですね。
さっきのロレックス同様、ひと目惚れです。当時のレートで10万円くらい。「もう、買っちゃう!」って。

それ以来、旅行に行くときはずっとこれ使っています。新婚旅行ふくめて、過去の写真にはぜんぶこれが写っています。うしろもボロボロになってきて、色もあせてきていますが、道具として使い込んだ「価値」を感じています。

前田:立派ですね、15年も。

船中:私も、この仕事するまで革の専門家でもなんでもなかったので大した手入れもしてきていないのですが、ええモノはケアしなくてもまぁまぁもつんですね(もちろんケアした方がもちますけど)。

当時の自分としては10万円というのは大きい。「これはいかん」と、ラスヴェガスですから、その分をカジノで取り返そうとしたんですね。
この先はみなさんわかると思うんですけど、はい、おんなじ額を負けました。ですから、結果、20万したバッグなんです(笑)

 

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Grant Stone Longwing Dune Chromexel

船中:Grant Stoneの1足目でした、ロングウィングDuneのクロムエクセル。

www.getgoing.co.jp

今でも、はじめてこれを履いたときの感覚というのは頭に残っています。
Grant Stoneというブランドを(日本で)自分でやりたい、ということではなくて、最初はただ「かっこいいからほしい」と思っただけなんですね。
日本で販売店がなかったから、アメリカ本国とやりとりをして「送ってくれ」ということで受け取った靴を履いたときは「なんじゃこの靴は!」と感動しました。

僕も靴は30足くらいは持ってるのですが、こんな靴、履いたことないな、というフィット感がありました。

前田:ほおぉ。

船中:ちょうどそのとき、なんか起業できないだろうかという気持ちがあったこともあり、届いて、履いて、次の瞬間にGrant Stone(のワイアット・ギルモア氏)に「これ、日本で売らせてくれへんか」と、メール送ったんです。
はじめは向こうは「なに言うてんねん」みたいな反応でしたけど……

前田:アメリカ人ですもんね、向こうは。

船中:はい、とにかく「売らせてくれ!」って、10月に靴買って、翌年1月に中国の厦門(アモイ)の工場に行って、2月に会社を立ち上げて、5月には販売を開始してました。

前田:ふ~ん(……オレ以上のアホやな)。

ギルモア家は元々オールデンに勤めてたんですよね?

船中:お父ちゃんとおじいちゃんがオールデンのセールスマン。

前田:(お客さんに)オールデンてわかります? アメリカを代表する老舗革靴ブランドです。

船中:セールスマンと聞いてたんですけど、実際は木型を開発したり、中国の工場にアドバイザーとして行ったり、「ホントにセールスマンなんかな?」という感じはします。

前田:あぁ、昔はひとりがいろんなことやったんでしょうね。今みたいに細分化されてなくて。

中国で作ってる、というと舐められる気はしますけど、船中さんのFacebookで見た写真では、厦門って都会ですね。

船中:超都会です。一時イギリスの租界になっていて、西洋風の街並みが残っていますね。

さっきのワイアットは中国に7年くらいいて、私は生まれてはじめて中国語を話す白人を見て驚愕しました。

 

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船中:うちの靴(Grant Stone)、中国製なんですよ。やっぱり「え、中国製なん? 日本製ちゃうの?」って言われるんですけど、Made in どこ、というのは品質を保証するものではないはずなんですよ。

前田:はい。それはカバン業界でも思います。

船中:「Made in Japanだから品質がいい」と謳ってる会社には、まずそれを疑ってみた方がいいです!

前田:はい、はい(大きくうなずく)。

船中:Made in Japanだからいい、というのは、これまでがんばってきた人たちの成果であって、それを引き継いでがんばればいいものができるのでしょうけど、無条件に品質を保証するものではありません。もちろん、それは中国も一緒です。

Made in Chinaってだけで「安っぽいよなぁ」とか言われると、「いわしたろか、こいつ」と思いますね(笑)

前田:そう、僕も前に船中さんとGrant Stoneというブランドをプロモートする際にはMade in Chinaは克服すべきハードルになるよねって、話したことがありましたけど、考えてみれば、あの国、14億人いるわけでしょ。
日本人てめちゃめちゃ多いのに、その10倍じゃきかない人たちがいるわけだから、そりゃ工場のクオリティもピンキリなわけですよね。

厦門の工場はピンに近い?

船中:トップです。
Made in Japanて、品質のレンジ(幅)が(首から胸くらいに手を広げて)これくらいなんですよ。Made in Chinaは、(頭からお腹くらいを指して)こんななんです。

そのピラミッド型の裾野が広いから品質が悪いと思われるけど、「トップを見てください。日本、抜かれてますよ!」というのは、コンサルの仕事でもよく言うんです。

レンジもでかければ、ヴォリュームもでかい。

前田: そうですか。

船中:ですから、「Made in なんちゃらにこだわるのはやめた方がいいですよー」って言うんです。

前田:それはね、僕の仕事仲間の革製品作ってる人たちも言いますね。
Made in Japanが飽和していて、大手なんかがウソをついてるし。

船中:そう! ウソついてる。

前田:最後の工程だけ日本でやって「はい、メイド・イン・ジャパンでございます」って。ほんまに、インチキまかり通りますよ。

船中:えぇ……、コレ言っていいのかわかりませんが……

前田:いいんじゃないですか!(笑)

船中:日本製といってる靴でも、靴底だけ貼らずに輸入してきて、国内で靴底貼って「メイド・イン・ジャパン」て言ってる会社もフツーにあると聞きます。

前田:はぁ。

船中:これは、イタリアとかでもおんなじなんです。中国で作って、最後にタグだけ付けて「イタリア製」。ということは、はじめからMade in Chinaって言ってる方が誠実なんちゃうか、と。騙してない。

前田:確かにね……。Grant Stoneは「メイド・イン・厦門」って書いてますよね。あれがまたいいですね。

船中:はい、Made in Xiamen(シァメン)ね。チャイナが嫌だというネガティブな理由ではなくて、厦門の誇りを持って、モノづくりをしているということです。

前田:いいと思います。「Made in Kyoto(京都)」って書いてあると、なんかイラっときますけどね。

船中:わははは!

前田:あれはなんなんでしょうね(笑)

会場爆笑

 

(了)

 

「愛せるモノを、持たないか?」
スナワチ大阪ストア
大阪市西区阿波座1-2-2
06-6616-9626
sunawachi.com

「この時代にモノを売る人間が、モノについて語る①」

去る2020年1月某日に、革靴ブランド「Grant Stone」を取り扱うゲットゴーイング社の船中俊宏氏と、スナワチ前田将多が対談イベントをしましたので、その一部をここでご紹介いたします。

この会は、ゲットゴーイング主催の「タシナム+タノシム」と題された試着販売イベントだったのですが、我々は表題のようなテーマで1時間お話ししたのでした。

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船中俊宏(ふななか としひろ) 合同会社ゲットゴーイング 代表

1976年生まれ
京都大学大学院を修了後、株式会社ディスコに入社。
機械系エンジニアとしてキャリアをスタート。
以降、複数の製造業を経て、2012年よりコンサルタントに従事。

2016年に退社、合同会社ゲットゴーイングを設立
Twitter: @get_going_inc

 

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前田将多(まえだ しょうた) 株式会社スナワチ代表/コラムニスト

1975年生まれ
ウェスタン・ケンタッキー大学卒業、法政大学大学院中退
2001年、株式会社電通に入社
関西支社で主にコピーライターとして勤務し、2015年に退職
カナダの牧場で、ひと夏カウボーイとして働いた

2018年、大阪にレザー専門店「スナワチ大阪ストア」を開設
Twitter: @monthly_shota

  ■「モノの価値とは」

船中:「モノの価値ってなんなんだろう」と、改めて考えてみたんですね。
たとえば、私は靴を販売しているんですけど、モノとしての価値というのがもちろんあります。だいたい5、6万円くらいです。
それは、単純に靴の「物」としての価値。

私の会社のスローガンというのは「出かける準備は出来ているか」で、靴とは関係ない言葉なんですね。
前田さんのスナワチも「愛せるモノを、持たないか?」でしたね。

それって実は、モノを買って所有した「あと」の話なんですね。

靴というのは「道具」だと思っています。
靴屋言ってはいけないことですけど、靴なんて、たかが靴なんです。その、たかが靴に、情熱を注いで作っている人がいて、それを感じとって売る人間がいる。それを買った方が、道具として使って、歩く先でどういう経験をしていってもらうか、そこにモノの価値が本当はあるのではないか。

前田:そうですね。僕ら含めて、モノを売る側の人間というのは、「この商品はこういう素材でこういうふうに作られていて、こういう価値があります」という話を、せざるを得ないんだけど、本当は、買った人がそれをどう使うか、それとどう生きるかが価値、であると。

船中:コスト・パフォーマンスという言葉が僕は大嫌いなんですね。それはモノを買うまでの話なんです。買って、飽きずに何十年と履いて、修理して履いて、道具として使っていったら、それはその人の価値なんです。

モノの価値というのは、その人がどう使いこなすかというところに、本当はあるのではないかと思います。

前田:ふむ。 

船中:これは「自分が余裕をもって使える金額」にもかかわる話で、それが10万円の人は、10万円の靴買ってガンガン履けるじゃないですか。僕なんか、10万円の靴を手にしても、大事に履こうとする。その結果、道具として使いこなせないんですよね。それは本来のモノの価値とズレてるなぁ、と過去の経験上、思うなぁ。

だから、自分がそれをガンガン使えるくらいの金額であったり、「よし、十年後にはちゃんとしたのを買うぞ」っていうモチベーションになったり、そういうところにもモノの価値ってあるんじゃないかな、と思います。

 

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■「モノと記憶」 ヒト・コト・トキをつなげる

船中:たとえば、腕時計を見て「これを買ったころ、こう思ってたな」と思い出すし、靴を履いて「これでどこに行ったな」とか、「このカバン持ってどこへ行ったなぁ」と思い出す。

今回のイベントのタイトルに「タシナム」という言葉がありますが、身だしなみというのもタシナムのひとつですね。

「今日は誰誰と会うから、こういう格好で行こう」と考えながら、道具として身にまとう、その積み重ねというのが、記憶として残ってくる。

ネクタイひとつとっても「今日は勝負プレゼンがあるから、気合の赤だ」とか、トランプ大統領もここぞというときは赤ですね。

モノと記憶を結びつけることも、さっきの「価値」にもつながってくるのだと思います。

前田:その通りですね……。僕もこの革ジャン着て、バイクであそこ行ったなぁ、ツーリングであそこ行ったなぁ、って思い出しますもんね。それによって、僕にとってこの革ジャンの価値がますます上がりますから。

船中:「おしゃれ」について言うと、靴なんて全身の面積からいえば5%くらいでしょうか。靴履いて「おしゃれ」になんかなるわけないんですよ。

でも、僕はおしゃれについて質問されたら「まずはいい靴を買いなさい」って言うんですけど。

前田:あ、僕は「いいカバンを持ちなさい」って言います(笑)

船中:そこはエゴが出ちゃう(笑)

でも、いい靴を履くとなにがいいかって「姿勢がよくなる」んですね。

スニーカーがだめってわけじゃないですけど、スニーカーは靴が人に合わせてくれるんです。どんだけ雑に履いても歩けちゃう。
でも、女性でいえばパンプスとかヒール、男性なら革靴ってのは、人が靴に合わせるんですよ。だから、きちんとフィッティングして、きちんと靴ヒモを結んで履いたら、靴はなんと、姿勢をよくしてくれるんです。

どんだけ高価なスーツを着ても、猫背だったら一発でかっこ悪くなるんですよ。
だから、靴はファーストチョイス。

革靴ってのは痛いとか疲れるとか思われていて、スーツもみんな着なくなってきて、政府までスニーカー通勤を奨励しだす始末。鈴木大地スポーツ庁長官)だから「階段を上がれ」とか言いますけど、ふつうのおっちゃんに階段上がらせたら死んじゃうんで(笑)

まずは歩きましょうくらいから始めたらいいんですよ。僕は、革靴で最高3万5千歩までいきました。今でも一日平均で1万歩は超えるくらいです。

前田:すごいですね……。

船中:歩くというのは、健康にも直結してますしね。

そうそう、直接関係ないかもしれませんけど、コンサルしてるときに頭がもやもやすることがあるんですよ。コピーライターもそうかもしれません。頭がこんがらかって。
そういうとき、歩くといいです。
歩くと、無駄なものがどんどん削がれて、「よし、こうしよう」って、ポン! と答えが出てきますね。だから、しょっちゅう「散歩いってきます」って会社抜けだしてました。

前田:村上春樹も、ジョギングするのは、走りながら考えを整理してるって書いてましたわ、たしか。

船中:スティーブ・ジョブスも、ウォーキング・ミーティングとかしてましたね。

 

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■「なんでこの仕事を選んだのか」
前田:船中さん、なんでこの仕事をはじめたんですか。
ぜったい言われますやん。ブリヂストンに勤めてたとか、京大の工学部で院まで行ったのに、「なんで靴屋やってんの?」って。
船中:めっちゃ言われますね。それは、ひとつには、子供に自分が働く姿をどう見せていくかというのを意識したからなんです。「今のままじゃマズいな」という気持ちはありました。
前田:なんなんでしょうね、それは。儲かってたんじゃないんですか? コンサルの会社にいたんだから。

船中:まぁ、儲かってたかどうかは、子供には関係ないですからね(笑)
ずっと眉間にシワが寄ってるような状態で、寝てもぱっと起きて仕事をしたりとか、ざっくり言うと病んでる、ですよね。それはちょっと、子供に見せたくない、と。

振り返ると、一族が商売人の家系だったもので、高卒中卒の中で、兄貴がはじめて大卒、そして僕は院卒。めっちゃ浮いたんですね。「こいつはバカか」って(笑)

サラリーマンやってるのが異常で、商売するのがスタンダードという特殊な環境だったので、自分も「あ、商売したいな」と思いました。

あとづけのように色々言うことはできるのですが、直接的にはもっと短絡的な話で、「つらい!」「逃げたい!」「新しいことしたい!」、という、ある種、負けに負けてたどり着いた道……。

前田:それは、一番悩んでたのは何才くらいなんですか?

船中: 30代はずっと悩んでましたよ。コンサルの前の仕事してたときから、32くらいで。そして、35で悩んで、37で悩んで……。

前田:ミッドライフ・クライシスが早かったんですね。
「ミッドライフ・クライシス」というのは、30代後半から40あたりで一度、男というのは(女の人はわからないけど)人生に悩むものなんですよ。「このままこれをしていていいのか」と、はたと立ち止まるんですって。それで、仕事を変える人もいれば、人生、もしくは家族に対する態度を改めたりっていう、方向転換を迫られる時期があるらしいので、若い人は覚悟しておいてください!

僕も、電通辞めてカウボーイやったりしたのは、振り返ればミッドライフ・クライシスだったんだろうなと思います。

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船中:いま、僕の使命としてすごく思ってるのは、「一人でも多く、かっこいい大人を世に出したい」。べつに、身だしなみレベルの話でいいんで。
前田:それはホントにねぇ、つらい道、しんどい道ですよ。だってさぁ、世の中かっこ悪い男ばっかじゃん(笑)

船中:そうですよ。

前田:商売しようと思ったら、「かっこ悪い人間に、しょーもないモノを売る」というのが一番儲かるんじゃないの? かっこいい男にかっこいいモノを売ろうなんて思ったら、「お客さんどこにおんねん……」て、どこ探していいかわからない。
いばらの道ですよ。

船中:いばらの道ですね。でも、だからこそ自分がやる意義があるというか、左団扇で「なんか、Grant Stone、儲かったな……」ってなったら、それはそれで面白くないんですよね。

僕が伝えられるところはお伝えして、理解してもらって、靴を道具として履いてもらった結果、かっこいい大人に増えてもらえれば、子育てをする大人としてはうれしいな、と。
子供に「大人になりたい」と思ってもらえる社会って健全だと思うんですよ。
いまのね、ツイッター見てると「誰が大人になりたい思うねん」て、かわいそうだなぁって。

前田:そうですね、日本人がネガティブすぎるのかもしれないけど、「いや、大人になってからの方がずっとたのしいよ」って言いたいですよね。
船中:はい、たのしいです。

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 今回はここまでです。

つづきが書けそうならまた書きます…。

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