sunawachi.com「レザー・コラム」

レザーにまつわるあれこれを不定期で書く、sunawachi.comのコラム

レザーに関する思い込みをひとつふたつ

レザーにはひとつふたつ、勘違いというか、思い込みされている事実があります。

革は、皮を取るためだけに牛や山羊などの動物を殺生しているわけではありません。
焼肉やステーキで牛肉を食べますよね。肉を得る際の副産物として、皮が残るのです。
それを皮革タンナー(鞣し屋さん)がタンニングして、皮(スキン)から革(レザー)に仕上げるのです。
私は北米で、牛を潰す現場にも立ち会い、手伝いました。

皮を剥いで肉になった牛の下にはベロッと皮が残ります。それをタンナーに売るのです。

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〈上記写真は、剥いだ皮を塩漬けにした小屋。残酷シーンは自粛……〉
その時点では大したお金になるわけではないのですが、牧場としては「捨てるよりマシ」という程度で売却します。

その昔、1850年以前の話です。北米大陸バッファローの王国でした。
インディアンたちはそれを狩り、肉や内臓は当然食べ、骨は薬に、頭蓋骨は地位ある人や戦士の冠に、尻尾はハエ叩きに、革は衣服や毛布として余すことなく利用しました。
その後、アメリカ西部に白人の入植が進むと、彼らは食べる分以上の狩りをしました。
舌を取るだけ、革を剥いで肉は腐らせるだけ、狩りの練習のためだけに、殺戮しました。
それにより、バッファローは絶滅寸前に追いやられ、生活の衣食住をバッファローに頼っていたインディアンたちは困窮したのです。

レザーを使うことに対して、動物愛護団体からは批判もあるでしょうが、人間は動物を食べて命を繋いできました。その体の部位を利用して、優れた素材としてきました。
殺生を全くせずに生きようという人は、それはそれで立派な心掛けですが、少なくとも都会生活者です。

革とはそういうものです。命を奪った動物の皮に、革という永遠の命を与えて、せめて大切に使うものだと思います。

もうひとつ。赤い財布は赤字の連想から縁起が悪いと考える方もいます。
ですが、信心深い方のために調べてみたところ、風水や占いの世界で赤い財布が良くないという事実はないようです。
むしろ、祝い事、喜びの象徴、情熱の色で、縁起の良いモノだそうです。

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新年度を迎えるにあたり、財布を新調される方は、是非スナワチを覗いてみてほしいです。
どの高級ブランドにも負けない品質の製品しか扱っておりません。信頼できる日本の小さなブランドのクラフツマンが一つひとつ手で作ったものだからです。

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レザーの鞣しには、大きく言って二通り

レザーには大きく言って、クロム鞣しとタンニン鞣しの2種類があります。
クロム鞣しのレザーが市場のおよそ8割。クロム化合物で処理された皮革のことで、品質の均一性や耐久性に優れた特徴を持つため、スポーツ用品や革靴、カバンなどに多く使われます。

一方、タンニン鞣しは植物から抽出された成分を皮革の組織と結合させることで安定させたもの。
時間とコストのかかる手法ですが、より天然の手触りや質感が得られます。「天然」ということは、動物の個体の傷やシワなどが残ることを意味し、水を吸収しやすいため染みも出来やすい側面もあります。

どちらが良い悪いということではなく、それぞれの特徴を活かした製品を使うのが賢明ということ。
「革を育てる」と表現されるような経年変化が楽しめるのはタンニン鞣しのレザーです。

こちらは、2年ほどの使用を経たm.ripple差込長財布です。

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こちらがその新品。お分かりいただけるように、元々はネイビーだった製品です。

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それがここまで色を深め、艶を増しています。
これがタンニン鞣しの醍醐味といいますか、それを所有し、使用を続ける楽しみでもあります。

春がすぐそこまで来ました。
進学やお祝いの季節に、ご自分へのご褒美に、また贈り物としてご検討いただければ光栄です。
卒業の頃には、肩書きが変わる頃には、どのような成長を見せてくれるか、それをご本人/持ち主の成長に重ねるのも一興です。

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