sunawachi.com「レザー・コラム」

レザーにまつわるあれこれを不定期で書く、sunawachi.comのコラム

「うまく言葉にできませんが、1周年を迎えて皆さんに感謝を」

スナワチ大阪ストアが開店より1周年を迎えました。

大阪は本町の裏通りまで、足を運んでくださいました皆さんに心から感謝申し上げます。

多くの方がSNSを通じて我々のことを知って、遠方よりお越しくださいました。一番遠かった方はドイツです(笑)。

 大阪の人が一番、スナワチの存在に気づいてないんじゃないかな、と思うくらいです……。

スナワチは、有名ではなくても、レザー製品に真摯に向き合う、腕のよいジャパンブランドのために、オンラインストアからスタートしました。2015年12月のことです。
オンラインとオフライン(リアル)のイベントを中心に数年間活動したのち、「やはりレザーは、実際を見ていただく機会・場所が必要だな」と確信するに至り、2018年にスナワチ大阪ストアを開設することにしました。

f:id:sunawachi_leather:20190518153815j:plain

レザーの暖簾が目印

賃貸料や光熱費などの経費が増えることへの怖れはありましたが、後藤さんとジョージ店長という仲間を得て、勇気を持って一歩を踏み出すことができました。

ストアを構想した当初は、私(前田将多)ひとりでやる予定でした。
ところが、取引先である各ブランドへそのご連絡をしたところ、後藤さんが、
「え! それなら一緒にやりたいです」
と申し出をされました。

彼は、あんまり地元大分のことをよく言わないのですが(苦笑)、出たかったみたいです。
それを聞いた私ははじめ戸惑いました。「オレひとりでも食っていけるかわからないのに、二人になったらどうするんだよ……」と、思ったのです。

それはまったくの見込み違いでした。

後藤さんには助けてもらってばかりです。店をはじめるというのは、お金がかかります。工事費以外に、掃除機、WiFiルータや電話機といった通信機器、プリンタやレジシステムなどOA器機、展示什器、収納用品、トイレ用品、食器などなど、必要なものは次から次に出てきてキリがないくらいです。
後藤さんはそれらのいくつかは用意してくれましたし、運営に関しても、世話になってばかりです。開店時間は11時なのに、いつも朝9時には店(アトリエ)に来て、シャッターを開けて草木と看板を出しておいてくれます。

そしてなにより、仕事をする背中を、私に見せてくれます。人間がだらしない私は、いつも彼の仕事への取り組み方に叱咤される思いです。

f:id:sunawachi_leather:20190518154358j:plain

後藤さんのそういう姿を伝えるのが、私の仕事でもあり、おかげさまで多くの方々が、後藤さんの手がけるレザー製品を求めて、来店くださったり、注文をくださったりします。

ほかの取扱いブランドの皆さんも、彼らの大阪出張や、私たちのイベントの際には顔を見せてくれて、本当に気持ちのよい人たちばかりです。カラーオーダーや一部カスタムにも快く応えてくれて、いつも助かっています。

 

最後に、そして最高に、お客さんたちには充分に感謝しきれないほどです。

私が、電通を辞めて一年半ほど経ったころに、ある事件がきっかけで「広告業界という無法地帯へ」というコラムをネットに公開しました。
それはその後、同名の書籍になるのですが、声をかけてきた出版社の編集者さんは「お客様は本当に神様なのか、という趣旨で書いてもらえないか」と言ったのです。

無理難題が毎日のように降りかかる広告制作の現場を
〈仕事の構造が、「患者の指示に従って治療を行なう医師」のようなものだ(中略)。そんなものが成立するはずがない〉
と、私は書きました。

 今、スナワチをやっていて、「作り手へのリスペクトを忘れないお客さんが多くて、実に幸せなことだ」と痛感します。私が知っていた世界とはまったくちがうのです。

こんな、最高の品質の、最低に流行らないモノを売っていると、毎月毎月売上がいいわけではありません。
「今月はヤバいな~」と思っていた月末に、急に来てくれたお客さんが大きなオーダーをくれたり、カバンを買ってくれたりした時など、「お客様は神様だ」とは思わずとも、本当に「この方は神様が遣わせてくれたのではないか……」なんて、痺れるような感謝に打たれます。アホです。

私も後藤さんも(たぶんジョージ店長も)、お客さんの期待には応えたいですし、できればそれを超えるモノを提供したいと、日々考えています。
払われたリスペクトをより多くお返しして、マニュアルのない自由闊達な空気を保つことが、店の健全な発展につながるはずだと信じて、少しずつ進んでいきます。

この商売は、急成長することはありえません。小さなことを積み重ねていくことしかできないと知っています。

 

1年の節目に、関係者である皆さんへの感謝を改めて言葉にさせていただきました。
私としたことが、あまりうまくまとまりませんでした。
とにかく……、

スナワチ大阪ストアで、またお目にかかれますことを、心から願っております。

 

「愛せるモノを、持たないか?」
スナワチ大阪ストア
大阪市西区阿波座1-2-2
06-6616-9626
sunawachi.com